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初心者のための色調合・インクの使い方ガイド
Tシャツやトートバッグ、ポスターなど、自分の手で印刷作品を作るシルクスクリーン。少し慣れてくると、「もっと自分らしい色を使いたい」「こんな色が出せたらいいのに」と思うことが増えてきます。
市販されている水性インクはすでに色がついていて手軽ですが、色のバリエーションに限界があります。そんなときにチャレンジしてみたいのが、自分でインクを調合して「オリジナルカラー」を作る方法です。
今回は、初心者の方向けに「好きな色を自分で安定して作る方法」を、理論から実践まで詳しく解説していきます。実際に筆者が経験した“色が再現できなかった失敗談”なども交えながら、楽しく学べる内容を目指します。
1. インクの「色」はどうやって作る?
まずはシルクスクリーン印刷で使う「インク」がどのようにして色を持つのか、その仕組みを理解しましょう。
インクの構成要素:バインダーと顔料
シルクスクリーンで使用する水性インクは、以下の2つの素材から作られています。
- 水性バインダー:インクの“糊”にあたるもので、印刷した生地に色を固着させる役割を持ちます。透明〜半透明の液体で、顔料を混ぜることで色がつきます。
- 水性顔料:インクに“色”を加えるための粉末または濃い液体。色を出す成分であり、バインダーに溶かして使います。
つまり、「水性バインダー」+「顔料」= 好きな色のインクが作れる、というわけです。
2. 実際の色の作り方:基本の手順
必要なもの(最低限)

- 水性バインダー(透明)
- 水性顔料(基本色:赤、青、黄、白、黒など)
- 紙コップやパレット
- 竹串やスプーン(混ぜる用)
- 計量スプーン(0.1g単位推奨)
- メモ帳(配合を記録)

基本の作り方
- バインダーを適量用意
→ 例:バインダー10g - 少量の顔料を加える
→ 例:赤0.3g + 青0.2g(=紫を作る場合) - よく混ぜる
→ 粒子が完全に溶け、ムラがなくなるまでしっかり混ぜる。 - 試し刷りをして確認
→ 乾燥後の色を必ずチェック!濡れているときと乾いた後で色が変わることがあるためです。
3. 顔料の種類にも注目しよう!
顔料には主に以下の2種類があります:
顔料の種類 | 特徴 | 向いている用途 |
---|---|---|
無機顔料 | 耐候性に優れ、色味はやや落ち着いている。価格は比較的安い | 屋外印刷物、グレイッシュな色合い |
有機顔料 | 発色が鮮やかで色の幅が広い。価格はやや高い | アート作品、Tシャツなど発色重視の作品 |
👉 初心者には有機顔料の方が「思い描いた色」に近づけやすいかもしれません。
4. 色が「濁る」「変わる」その理由は?
乾燥前と乾燥後の色差
印刷直後は鮮やかに見えたのに、乾いたらくすんだ…。そんな経験はよくあります。これは顔料の粒子とバインダーの透明度、布地の色の影響が関係しています。
生地の色との相性
たとえば白Tシャツと黒Tシャツに同じ色を刷っても、見え方は全く異なります。暗い布地に刷る場合は、ホワイトバインダーを使った「下地」を先に刷ることで、色の再現性がアップします。
5. よくある初心者のつまずきポイント
✔ 同じ色が再現できない!
筆者も最初は「なんとなくいい感じ」で色を作っていたのですが、いざもう一度同じ色を作ろうとしたときに、全く再現できなかったんです。
色はほんの少しの顔料の差で大きく変わります。そのため、最初から「きちんと配合を記録する習慣」が大切です。
例:
- バインダー:10g
- 赤:0.4g
- 青:0.2g
このように、グラム単位で記録をとっておけば、次回から調整がしやすくなります。
6. プチ体験談:失敗から学んだこと
私は初めて「ラベンダー色」を作ろうとしたとき、赤と青を混ぜればOKだと思っていました。ところが完成したのは「グレーがかった紫」…。
原因は、使用した赤と青の顔料が濁りやすい無機顔料だったこと、そして比率が適当すぎたこと。
そこから、何度も試作を繰り返し、「赤:青=2:1」くらいにするとうまくいくと気づきました。そして、最も大切だったのは配合のメモを残すことでした。
7. 応用Tips:白インクはどう作るの?
「白」はちょっと特別で、透明なバインダーに白顔料を混ぜるよりも、**最初から白顔料入りの「ホワイトバインダー」**を使う方がキレイに発色します。
特に黒や色物の生地に刷る場合は、このホワイトバインダーが大活躍。白地を一度刷ってから、上に他の色を重ねる「二度刷り」もオススメです。
8. まとめ:自分だけの色は「経験×記録」で育てよう
色の調合は、まさに職人技。
でも最初の一歩は「失敗を恐れず試すこと」、そして「しっかり記録すること」で、誰でも着実に上達できます。
- 「好きな色」は自由に作れる
- でも「再現する」にはデータと経験が必要
- バインダーと顔料の特性を理解しよう
- 顔料の種類や生地の色にも注目
- やってみる → 失敗する → メモを残す → 次は成功、が一番の近道!
自分だけのオリジナルカラーが作れるようになると、作品にもっと愛着が湧いてきます。ぜひ、色づくりにチャレンジして、あなたの作品に命を吹き込んでください!
✏️次にやってみよう!
- 基本色の顔料を揃えてみる(赤・青・黄・白・黒)
- 実験的に何色か作ってみて、記録を残す
- 乾いた後の色の変化も観察しておこう!
※画像は全てイメージです。
※記載している内容は2025年4月現在のものです。
※一般的な使用方法をご紹介しています。各製品の表示・使用方法に従ってご利用ください。
