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初心者でもできる!ハーフトーンとモノクロ2階調の違いと加工方法
「シルクスクリーンって絵やロゴだけじゃなく、写真もプリントできるの?」
そう思った方、ご安心ください。実は、ちょっとした画像加工をすれば、写真もシルクスクリーンで印刷可能なんです。
この記事では、**写真をシルクスクリーンで印刷するための2つの加工方法「ハーフトーン(網点)」と「モノクロ2階調」**の違いをやさしく解説。Photoshopを使った画像作成の流れも、初心者向けにステップごとに紹介していきます。
Tシャツやバッグ、ポスターなど、オリジナル作品を作ってみたい方は、ぜひ最後まで読んでみてください!
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1. シルクスクリーン印刷とは?
まずは基本のおさらいから。
シルクスクリーン印刷とは、版にインクを通して布や紙にプリントする技法です。
Tシャツやトートバッグなどのグッズ制作によく使われています。
もともと文字やイラスト向きの印刷技術ですが、画像に「加工」を加えれば写真の印刷も可能になります。
2. なぜ画像を加工する必要があるの?
一般的な写真は「階調」といって、暗いところから明るいところまで滑らかに色が変わっています。でも、シルクスクリーン印刷ではそれをそのまま印刷できません。
そこで登場するのが、「網点(ハーフトーン)」や「モノクロ2階調」といった加工方法。
📌ポイント
- 階調のある写真 → 点の大小で濃淡を表現(=ハーフトーン)
- 色の濃淡を黒か白の2択で表す(=モノクロ2階調)
つまり、写真のような「グラデーション」を「点々」で表現するために加工が必要なんです。
3. ハーフトーン(網点)とは?
▷ 点で濃淡を表現する技術
ハーフトーンとは、小さな点の大きさで色の濃さを表現する方法です。
この点のことを「網点(あみてん)」と呼びます。
遠くから見ると写真に見えますが、近づくと点の集合体なのが分かるはず。
▷ 線数って何?
網点の細かさを表す単位を「線数(lpi)」といいます。
線数 | 特徴 |
---|---|
100線 | とても細かい印刷。紙などに適している |
40線 | シルクスクリーンで一般的に使用される細かさ |
10〜20線 | 大きな印刷物向け。離れて見る用途に最適 |
Tシャツなどに印刷する場合は、30〜40線程度が最適。線数が細かすぎると、布目やインクのにじみで潰れてしまうことがあります。
4. モノクロ2階調との違いは?
モノクロ2階調とは、画像を完全に「白」と「黒」だけで構成する方法です。中間のグレーは存在しません。
📸 違いを簡単に整理!
加工方法 | 表現方法 | 見た目 | 難易度 |
---|---|---|---|
ハーフトーン | 点の大小で濃淡表現 | 写真っぽく見える | ★★★☆☆ |
モノクロ2階調 | 黒・白のみ | ポスター風・コントラスト強め | ★★☆☆☆ |
ハーフトーンは自然な写真感を残したいときに、モノクロ2階調はパキッとした印象を出したいときにおすすめです。
↑ハーフトーン(網点印刷)のわかりやすい例です。写真や階調のあるイラストも綺麗にプリントできます
大きい物に印刷する場合、例えば屋外広告のように離れて見るようなものでは、逆に10線〜20線で綺麗に見えます。
5. 実践!Photoshopで加工する手順
ここからは、Photoshopを使ってハーフトーン画像を作成する手順を、わかりやすく紹介します。初めての方でも安心して試せるよう、ひとつずつ丁寧に説明します。

ステップ1:画像をグレースケールに変換
- Photoshopで画像を開く
- 上部メニューから
「イメージ」→「モード」→「グレースケール」 を選択

カラー情報を落とすことで、モノクロ画像になります。
ステップ2:レベル補正で明るさとコントラストを調整
印刷時、暗い部分は潰れてしまいやすいので、明るく調整しましょう。
- 上部メニューから
「イメージ」→「色調補正」→「レベル補正」 を選択 - 「ヒストグラム(山型のグラフ)」の左右のスライダーを動かして、
明るい部分を引き出し、暗い部分は引き締める


ポイント:明るめにしてから、暗部をギュッと締めると美しい仕上がりに
ステップ3:画像の解像度を上げる
網点をかける前に、画像を高解像度にします。
- 「イメージ」→「画像解像度」
- 解像度を 600pixel/inch に設定(可能であればそれ以上)
解像度が高いほど、網点がきれいな「丸」になりやすくなります。
ステップ4:モノクロ2階調に変換(ハーフトーン)
いよいよ網点加工!
- 「イメージ」→「モード」→「モノクロ2階調」
- 「出力先の種類」でハーフトーンスクリーンを選択

設定画面が出てきたら:

- 周波数:30〜40線
- 角度:53度や87度など中途半端な数字
- 形状:円形(Round)
📌注意!モアレとは?
角度を90度や180度など「きっちりした数値」にすると、点が重なって“モアレ”という模様が出ることがあります。
モアレが出ると印刷が汚く見えるため、角度は少しズラした数字にして調整しましょう。



6. 完成!印刷用データができたら
加工が終わった画像は、**黒い部分が「インクが通る部分」**になります。
このままシルクスクリーン用のフィルムに出力して製版すれば、写真の印刷も可能です!
遠くから見ると写真に見えて、近づくとドットになっている…
そんな仕上がりが、シルクスクリーンの魅力のひとつです。

シルクスクリーンの網点印刷(ハーフトーン)で一番有名なのはアンディ・ウォーホル(Andy Warhol、1928年8月6日 - 1987年2月22日)のポップアート作品です。パソコンがない時代もアミかけ加工は存在していました
モノクロ2階調(50%を基準に2階調)はどうでしょう
写真を綺麗にシルクスクリーンで印刷でできるハーフトーンスクリーンもモノクロ2階調ですが、その中でも50%を基準に2階調に分ける(ややこしですが通常モノクロ2階調といえばこちらのコトです)は、シルク印刷としては最適ですが画像の印象がガラリと変わります。デザイン的に可能な場合は有効でしょう。今回上記のハーフトーンスクリーン加工で使った同じ画像でモノクロ2階調(50%を基準に2階調)してみましょう

モノクロ2階調にはハーフトーンスクリーンと50%を基準に2階調に分ける
があります写真をシルクスクリーンデータにする時、通常はハーフトーンスクリーンにします
番外編:グラデーションのないアナログ描画イラストならモノクロ2階調(50%を基準に2階調)が綺麗に出来ます
グラデーションのないアナログ描画イラストは書いた後にパソコンに取り込んでデータ化する必要があります。この時画像になるのでモノクロ2階調(50%を基準に2階調に分ける)加工が向いています。


NIKON D800/ISO200/85mm/F1.8/0.08sec


7. まとめ:初心者でも写真プリントはできる!
ポイント | 内容 |
---|---|
加工が必要な理由 | 写真のグラデーションを「点」で表現するため |
おすすめの加工 | ハーフトーン(自然な見た目) or モノクロ2階調(はっきりした見た目) |
Photoshop操作の流れ | グレースケール→補正→解像度調整→ハーフトーン化 |
8. ちょっとした応用アイデア
- 自分のスマホ写真をTシャツに
- レトロなポスター風にアレンジ
- 1枚だけのオリジナル作品にも◎
「これってプロしかできないでしょ?」と思っていたあなたも、この記事を読んだら一歩踏み出せるはずです!
さあ、あなたの“好きな写真”をプリントしてみませんか?
シルクスクリーンで世界にひとつだけの作品をつくる、ワクワクの第一歩です。
シルクスクリーン印刷で写真をする場合は網点印刷(ハーフトーン)で綺麗にプリントできます。この網点というのがシルクスクリーン印刷技術の中でも難しく面白い部分です。適切なアミかけ加工が成功の鍵でしょう。通常の印刷物も拡大してみるとこの網点印刷(ハーフトーン)が見えるコトを知りものの見方が少し変わりました。私自身の経験ですがシルクスクリーンの原理を知ると、色々なものが面白く見えてきたりしますよ。アナログな技術で手間もかかりますが、デジタルとの融合でより面白い表現が出てくるきっかけになるかもしれません。ミニマムな設備で作れるのにも可能性を感じれて楽しいですね。
※画像は全てイメージです。
※記載している内容は2025年4月現在のものです。
※一般的な使用方法をご紹介しています。各製品の表示・使用方法に従ってご利用ください。
