
シルクスクリーン印刷は版画の技法の一つでその歴史は古く、
100年以上前からあるとされています
アナログなプリント技法ですが商業印刷やアート表現として
2023年の現在でもあらゆる分野で使われています。
Tシャツやトートバッグ・電子基板など商業的な用途も多く、アート表現としてはポスターなどでよく使われています。アート作品で世界的にも有名なのはアンディー・ウォーホルでしょう
やってみると意外に単純で様々なアレンジが可能なシルクスクリーン印刷
商業〜アート表現まで職人やアーティストに愛されている技法です
このシルクスクリーンTシャツへのプリントでは現在も王道の方法ですが
今回はその技法やアート表現で使用された作品も見ていきましょう
Contents
Tシャツやトートバッグなど布製品へのプリントはシルクスクリーンが相性良し
Tシャツの制作には主に大量生産もしやすいシルクスクリーン印刷がよく使用されています。
シルクスクリーンは、1度版を作れば、同じデザインを何回も刷れます。 1色で1枚の版を作るので、多色の場合は複数の版が必要です。
この版は紗(テトロン生地)にデザインを定着させ、デザイン部分にインクを通して印刷します。
デザイン分以外の部分は「感光乳剤」という紫外線で固まる液剤で固めておいてインクが通らないようにしておきます。
シルクスクリーンの技法では
印刷も自分で刷れるし、道具は自作できます。
海外では、刷り台からスクリーン張り、製版まで全てD.I.Yでやっている人も多いようです
そもそもシルクスクリーン技法って何だろう、アートと商業の間のパンチラインでブレイクしたアンデイウォーホル
シルクスクリーンは、メッシュ状の版にインクを通過させる孔 ( あな ) と通過させない部分を作り、版の上にインクを乗せ、スキージーというヘラのようなもので孔の部分にだけインクを押し出して印刷するとてもシンプルな印刷方法です。これが孔版画※といわれる理由です
※孔版画とは
版画には木版画などの凸版、銅版画などの凹版、平面のリトグラフ、孔版画という4つの種類があります。シルクスクリーンはこのうち、孔版画になります。

商業デザイナーから30代でアーティストとして制作を開始。
当時目覚ましい経済成長のさなかにあったアメリカの大量消費社会を背景に、版画技法のシルクスクリーンを用いた“大量生産”への皮肉?とも呼べる作品で世界的なアーティストに。
シルクスクリーンという大量生産できる技法すらアート表現という事なんでしょうか!?
まさしく商業を皮肉った元商業デザイナーのアーティストです
Silk Screen Process Printing・シルクスクリーン印刷は別名Serigraphy(セリグラフィ)といいSericulture(養蚕業)ラテン語のまゆ・絹の意味に由来します。これは版画などの美術界で用いられる名称。
イギリスではStencil Process Printingと呼びステンシルに関係しています。日本には日本由来の抜染技術(ステンシル)が発祥の抜染技術があり、それは江戸時代に続く伝統的技法、江戸小紋・伊勢型紙などの事です。
抜染技術の後、和紙に柿渋を塗った型紙に絹の紗張りをしたのが富山県高岡地方の人々でした、これが明治の末です。
これを元に1907年にイギリスのサムエル・シモンがシルクスクリーン印刷法の特許をとったのがシルクスクリーン印刷の始まりです。そう考えると元々は日本から始まったとも言えるでしょう

シルクスクリーンで有名なアンデイウォーホルの美しいポップな版画作品
通常の版画に比べて大量生産がしやすいシルクスクリーンの絵画。シルクスクリーンで量産した場合、希少価値が薄れ価格が下がってしまうケースもありますが、アンデイウォーホルなどの作品は高値がつく作品も多数あります。
シルクスクリーンの起源は諸説あり
シルクスクリーンの起源自体は琉球の古紅型染、中国の襖紙型、江戸時代のカッパ版型紙、8世紀後半伊勢白子型紙、ギリシャ時代のステンシル印刷等、諸説ありますが古くから全世界的にあるという事は、そこまで特殊
な技法ではなく、使いやすい技法という事でしょう。

吉岡浩太郎はインテリアアート界の第一線で活躍し、シルクスクリーン版画の第一人者として不動の地位を確立した画家です。
アナログ写真製版によって今の技法が完成、その頃から徐々に商業的な使用も増えた
1915年頃アメリカで写真製版法が完成し、1917年に万石和喜政によって日本に写真製版法が来たことでシルクスクリーン印刷は完成したといっていいでしょう。
また、シルクスクリーンはプロセス印刷・孔版プロセスなどと呼ばれ、美術作品、広告、日用品まで範囲が広いです。印刷技法や構造も簡単で、大ロットはもちろん
ランニングコストも低いので、そこそこの小ロットにも向いています
D.I.Yにも適した印刷メディアと言えます。
水と空気以外全ての物に印刷ができる万能技法!?
シルクスクリーンは大まかに言うと、生地にインクを乗せるという技法なので
水と空気以外全ての物に印刷ができると言われていて
トレーナー、帽子、紙、木材、プラスチック、金属、ガラスにまで印刷でき、
精密機械にも使用されています。幅広く応用でき、
アイデア次第で色々な事に応用できるのも魅力です。
まとめ
シルクスクリーン印刷は商業からアートまで
様々な用途で現在でも使われています
手で刷るシルクスクリーン印刷は
毎回真剣勝負で身体を使って感じる五感を研ぎ澄ませる印刷ですね
刷る環境や人によって全く同じ条件でも、違う仕上がりになり
味が出るところも魅力です
デザイン自体は版づくりの段階で決まっているので
シルクスクリーン印刷は
版づくり〜刷る工程までを含めたアート表現といえるのではないでしょうか?
商業で使われている場合でも
手で刷る場合は、一種のアート的な要素は含んでいるのではないでしょうか
シルクスクリーン印刷の魅力は実際に
自分で刷ってみると感じられるかもしれませんよ!
参考文献:シルクスクリーンの用具と技法 美術出版社