シルクスクリーンの版づくりで枠に貼る紗について少しふれておこうと思います
シルクスクリーン印刷におけるメッシュは、インクの通り方や印刷の精度に大きな影響を与えます。
この紗(メッシュ)には、スクリーンメッシュの織密度を表すメッシュカウントという単位があります、
これは、1インチ四方にあるメッシュの数を指し、これにより粗さが決まります。
例えば、50メッシュは粗いメッシュで、厚めのインク層を形成するのに適しており、ポスターや厚紙への印刷に向いています。
一方、300メッシュ以上の細かいメッシュは、高精細な印刷が可能で、繊細なデザインに適しています。選択するメッシュの粗さによって、仕上がりの質感や精度が異なりますので、目的に応じた適切なメッシュを選ぶことが重要です。
メッシュ選びの基本は、印刷する素材やデザインに応じて決定されます。
たとえば、粗いメッシュはインクが多く乗り、厚みのある印刷ができるため、粗目のデザインや背景色が暗い場合に効果的です。反対に、細かいメッシュは詳細なデザインや明るい背景に最適です。また、メッシュの材質も重要で、ポリエステルやナイロンが主に使用されますが、耐久性や印刷精度の点で異なる特徴があります。
Contents
シルクスクリーン印刷におけるメッシュの選択
1. メッシュカウントの詳細 メッシュカウントは、1インチ四方のメッシュにある糸の本数を指します。カウントが低い(粗い)メッシュは50~200程度で、厚いインク層が必要な印刷に向いています。逆に、カウントが高い(細かい)メッシュは300~500程度で、細部の表現や繊細なデザインが求められる場合に適しています。
2. 粗いメッシュの特徴と用途 粗いメッシュ(50~150メッシュ)は、インクが多く通過するため、ベタ塗りやシンプルなデザインに向いています。特に、濃い背景や厚紙、繊維への印刷で効果を発揮します。粗いメッシュを使用すると、インクの厚みが増し、仕上がりが立体的になるため、力強い印象を与えることができます。
3. 細かいメッシュの特徴と用途 細かいメッシュ(300~500メッシュ)は、微細なデザインや文字の再現に最適です。薄いインク層で済むため、精密な図案や繊細な印刷が可能です。また、印刷後の乾燥が早く、色ムラが少ないため、高精度の印刷が求められる場合に使用されます。
【🐾シルクスクリーン製版のメッシュ数🐾】
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使うインクによってメッシュ数が変わります😎
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4. メッシュの材質と選び方 メッシュの材質としては、主にポリエステルとナイロンが使用されます。ポリエステルは耐久性が高く、長期間の使用に適しています。一方、ナイロンは伸縮性があり、複雑な形状の素材に対しても柔軟に対応します。選択するメッシュの材質も、印刷結果に影響を与えるため、目的に応じて適切な材質を選ぶことが求められます。
現在は、ポリエステル(※テトロン)の紗が多いです
5. メッシュの張力と印刷への影響 メッシュの張力も重要です。張力が高いと、インクの転写が均一になりやすく、シャープな印刷が可能です。逆に張力が低いと、インクがにじみやすく、印刷が不鮮明になることがあります。印刷精度を高めるためには、メッシュの張力を適切に調整する必要があります。
紗の種類
紗はスクリーン印刷を 製版するための糸で編んだ布のことで。
紗の種類には、シルク・ナイロン・ポリエステル・ステンレススチールなどがあります
シルクの紗(メッシュ)
シルクは絹のことで絹(きぬ)はカイコの繭からとった動物繊維。
カイコが体内で作り出すたんぱく質・フィブロインを主成分とするが、1個の繭から約800 - 1,200mとれるため、天然繊維の中では唯一の長繊維(フィラメント糸)である。独特の光沢と滑らかな質感を持ち、古来より衣類の材料(絹織物)などとして珍重されてきた。
カイコの繭を製糸し、引き出した極細の繭糸を数本揃えて繰糸の状態にしたままの絹糸を生糸(きいと)というが、これに対して生糸をアルカリ性の薬品(石鹸・灰汁・曹達など)で精練してセリシンという膠質成分を取り除き、光沢や柔軟さを富ませた絹糸を練糸(ねりいと)と呼ぶ。
ただし、100%セリシンを取り除いたものは数%セリシンを残したものに比べ、光沢は著しく劣る。生糸は化学染料、練糸はいわゆる草木染めに向くが、歴史的に前者の手法が用いられはじめたのは19世紀(明治維新)以降であり、昔の文献や製品にあたる際、現在の絹織物とは別物に近い外観と性質をもつ。
また、養殖(養蚕)して作る家蚕絹と野性の繭を使う野蚕絹に分けられる
ナイロンの紗(メッシュ)
ナイロン(nylon)は、ポリアミド合成樹脂の種類である。当初は主に繊維として使われた。世界初の合成繊維のナイロン6,6(6,6-ナイロンなどとも)が含まれる。
1935年、アメリカのデュポン社のウォーレス・カロザースが合成に成功した。ナイロンは本来、インビスタ社(旧デュポン・テキスタイル・アンド・インテリア社)の商品名だが、現在ではポリアミド系繊維(単量体がアミド結合(-CO-NH-)により次々に縮合した高分子)の総称として定着している。ナイロン(nylon)の名称は、「伝線(run)しないストッキング用の繊維」を意図した「norun」に由来する[1]。 また、ナイロン登場前に絹の圧倒的シェアを誇っていた日本に対して「Now You Lousy Old Nipponese」(古い日本製品はもうダメだ)の頭文字をとったという説もある[2]。 種類としては、ナイロン6、ナイロン6,6、ナイロン4,6などがある。これらの数字は、合成原料の炭素原子の数に由来する。構造は、
- ナイロン6:{\displaystyle {\ce {{CO\ -(CH2)5\ -NH}n}}}
- ナイロン6,6:{\displaystyle {\ce {{CO\ -(CH2)4\ -CO\ -NH\ -(CH2)6\ -NH}n}}}
ポリエステルの紗(メッシュ)
現在のシルクスクリーン紗(メッシュ)の主流
ポリエステル(polyester。略号、PEs)は、多価カルボン酸(ジカルボン酸)とポリアルコール(ジオール)とを、脱水縮合してエステル結合を形成させることによって合成された重縮合体である。したがって、一口にポリエステルと言っても様々な物が存在します
ステンレススチール
ステンレス鋼(ステンレスこう、英: stainless steel)とは、クロム、またはクロムとニッケルを含む、錆びにくい合金鋼である。ISO規格では、炭素含有量 1.2 %(質量パーセント濃度)以下、クロム含有量 10.5 % 以上の鋼と定義される。名称は、省略してステンレス、ステンともよく呼ばれる。かつては不銹鋼(ふしゅうこう)と呼ばれていた。 出典:ウィキペディア
※寸法精度をもとめられる電子機器のようなプリント基板では、ステンレススクリーンが使われることもあるようです。ナイロン紗はテトロン紗より伸縮性があるので、曲面印刷等が向いているらしいです
シルクスクリーン印刷で使われる紗(メッシュ)は現在テトロン[ポリエステル]が主流
糸の種類
糸には単一なモノフィラメントと何本もの繊維がよじってあるマルチフィラメントがあります
モノフィラメント
化学繊維のフィラメントを多数合わせて糸にしたマルチフィラメントの対語で、太い繊維1本をそのまま1本の糸にしたものをいいます。紡糸の課程で、ノズルから出てきた1本の化学繊維をそのまま単繊維として糸にします。太い縫い糸や、釣り糸、ブラシなどに用いられています。一本の糸なのでインキの通りがよく、詰まりづらいとされ、伸長性も安定しています。
マルチフィラメント
化学繊維のフィラメントを多数合わせて糸にしたものをいいます。30〜50本合わせるのが普通ですが、特に細いものは、60本以上合わせるものもあります。太い繊維1本をそのまま糸にしたモノフィラメントの対語です。にじみやすい生地などに使われることがあります
出典:きもの用語大全
シルクスクリーン印刷で使われる糸はモノフィラメントが使用されることが多い
※物・ふろしき・手ぬぐい等や手染の布地にはマルチフィラメント、綿やポリエステル素材の服地等の機械染の布地はモノマルチフィラメント(タテ糸をモノフィラメント、ヨコ糸をマルチフィラメントで織ったもの)が一般的です
織りの種類
織りには平織りと綾織りがあります
平織り
平織(ひらおり)とは、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を交互に浮き沈みさせて織る、最も単純な織物組織である。できあがった模様は左右対称になる。丈夫で摩擦に強く、織り方も簡単なため、広く応用されている。三原組織の一つ。
綾織り
綾織(あやおり、英: twill:ツイル)もしくは斜文織(しゃもんおり)とは織組織の一つで、タテ糸が2本もしく3本のヨコ糸の上を通過した後、1本のヨコ糸の下を通過することを繰り返して織られもの。平織、繻子織とあわせて三原組織の一つである。糸の交差する組織点が、斜紋線(しゃもんせん)または綾目(あやめ)と呼ばれる線を斜めに表し、できあがった模様は左右非対称になる。織組織の関係上、生地の表面はタテ糸の割合が多い。平織に比べると摩擦に弱く強度に欠けるが、地合は密で柔らかく、伸縮性に優れ、シワがよりにくい等の利点がある。出典:ウィキペディア
シルクスクリーン印刷で使われる紗(メッシュ)の織りは平織りが多い
オープニングエリア(開口部)
オープニングは紗の孔の寸法(糸と糸の隙間)です。ミクロン単位で式にあらわすと、オープニング=25400μm÷メッシュ数-線径となります。
※同じメッシュであっても糸(線径)が太ければ、オープニングは小さくなり、細ければオープリングは広がります。
出典: 横山工藝
メッシュ(数)
糸と糸との間隔を表す単位です。1インチの中に何本打ち込まれているで紗の細かさを表しております。1インチ=25.4ミリです。高い数字程密度が高く細かい画像を製作できます。メッシュは#で表記します。通常#90~#300がシルクスクリーン使用サイズで#200~#220が手刷りには向いているとされていますが、#80でも#300でも手刷り(インクによりますが)可能です。
貼り方
ノーマル
メッシュをフレームに縦横直角に固く固定すして貼る通常の張り方
バイアス
メッシュをフレームと対角に固く固定して貼る、45度とされていますが。20度近辺の場合が多い(角度が大きいと紗を長く使うのでコストを考えて)一般的には水平垂直の線で構成されているデザインの場合バイアスで貼ることが多いようです
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